志木市の佐藤デンタルクリニックです。歯を新しく入れたときに、長く待ってほしいと思うのは、当たり前のことです。しかし、多くの歯は、それほどたっていないにもかかわらず、再治療になることがあります。
これはなぜなのでしょう。
歯というのは、非常に過酷な状況の中で頑張ってくれています。常に唾液などで湿度は100パーセント、歯同士があたり、100kg近い力がかかることもあります。しかも、毎日!中には、歯ぎしりをする人もいますよね。
ですから、歯は、壊れない強度、細菌感染を起こさない精度(ぴったりあっている)、水分に負けない耐腐食性、などなどが必要です。(さらにはアレルギーをおこさない生体親和性、歯ブラシのしやすい滑沢性、食べやすいかみ合わせなどなども必要となるでしょう)
ようするに、壊すのは簡単で守り続けるのは非常に困難だから、壊れるし、虫歯になり再治療となるのです。
上の写真を見てください。銀歯をセラミックに変えたものです。見た目も自分の歯のようにキレイになりましたが、もう一つ見てほしいのは、入れたものと歯の間の隙間です。
銀歯は、変形し間から虫歯になっています。この大きさの写真でも、隙間がわかるでしょう。スワイプして大きくしてみるとさらにわかりやすいと思います。
一方セラミックはどうでしょう。大きくしてみてください。隙間は確認できるでしょうか。
ほとんど隙間がなく、場所によっては、どこが継ぎ目か分からない場所もあるかと思います。
口の中で、長く持つためにはこのような精度が必要なのかもしれません。
しかし、このセラミックもじつは、歯につけるまではここまでぴったりだったわけではありません。0.5mm弱のセメントが入るスペースがないとセラミックは歯につきません。
ぴったりに見えるセラミックは、歯とセラミックをつなげてくれる接着(剤)の力が大きくものを言います。
ここがきちんとできていないと、そこから腐食し、セラミックといえど虫歯になります。また、接着剤で歯と一体化することで、セラミックはさらにつよくなるのです。(つける前のセラミックはわれやすいのです)
通常のセメントによる合着による銀歯などのセットでは、歯と銀歯がくっ付くというより、その間をセメントがうめて、引っかかることにより取れないようになっていました。
そのせいもあり、銀歯がかんだりして変形するとその面からあっさり剥がれ、隙間のセメントは剥離し、そこに明らかなスペースができていました。その部分に汚れが入り込み虫歯になるのです。
セラミックの接着の場合、歯とセラミックそれぞれの表面をざらざらにしたりして、接着面を増やしたり、それぞれの表面の汚れを薬液で化学的にキレイにしたり、接着剤と相性のよい、ボンディングやプライマーと呼ばれる液体で表面処理をすることで、接着剤がさらにつきやすくします。
この前処理は、歯とセラミックでも違いますし、セラミックの種類によっても、接着剤の種類によっても違います。ここからも非常に繊細な処理であることがわかります。
しかし、この部分を抜きにしてセラミックの長持ちというのはありえないのです。私もこの部分はしつこいほど学びました。
接着剤は、進歩しています。確実に唾液などがつかない口の中の状態をつくり、適切な前処理を行い、光をしつこいほどあてて確実に硬化させるこれが大事なのです。
このくらいの繊細さと全ての工程を確実に行うことが、上の写真のような継ぎ目のほとんど見えないセラミックをつくります。
このほかにも、つけたあと接着剤を変形させないこつや、表面の適切な研磨、そして、高度の高いセラミック表面の処理剤の付与など、セラミック接着の成功には沢山の工程が必要です。
そのおかげか、昨年当院でいれたセラミックでとれてしまったものはありません。ただ、とれなければいいというわけではありません。
上の銀歯もじつは取れたわけでも、すごく痛いわけでもなかったのです。近年、取れてはいないのだけど、痛くはないのだけど、よくチェックすると、大きな虫歯になっている歯が見受けられます。
皮肉なことですが、セメントがよくなり完全には取れない虫歯が増えているのです。患者様は、取れてこなければ、痛くなければ、自分の歯は大丈夫と思いがちです。しかし、現実には、このように取れなくても虫歯になっていることもよくあります。
歯は痛みが出る前ならば、やり直しがきくことがおおいですし、痛くなってから大きく歯を治療するのは、歯の寿命を考えてもお勧めできません。
ぜひ、何か気になる点がありましたら、歯科医にかかり聞いてみてください。その時はちょっと面倒でも後々良かったと思うことがあると思います。
しかし、虫歯に気付いてそのあとはどう治療を選び、していけばいいのでしょう。
それは、その方の、歯に対する考え方や、ご事情によってもかわるとおもいます。当院でも、さまざまなニーズに合わせてカウンセリングさせていただいています。ご安心下さい。
ただ、先ほど見たように、歯と何かの接着だけみても、これはかなり複雑で大事なことです。歯には、色々気を付けなれば行けないとことがあります。
患者様だけでは、全てを考えることは不可能でしょう。そんな時、歯科医を頼っていただければいいのかもしれません。
今回は、歯の接着について細かく書いてみました。この話が、患者様のお口を守るきっかけになれば幸いです。
(接着分野に関しては、非常に最先端な分野が含まれております。私も学会等で研鑽を積んでおりますが、先端ゆえにそれぞれの先生により、考え方の違いが多少あることをご了承下さい、当院の治療は、日本CAD/CAM学会、日本接着学会の考え方に準拠しております)