今回は、5本つながった大きなセラミックジルコニアブリッジを、通常の粘土のようなものでとる型取りや模型をつくらず、ほぼデジタルでキレイに作製した治療例です。
他にも、デジタルでデータを技工士さんにおくるデジタルコネクトや強度を保ちながら綺麗な歯をつくる、モノリシックジルコニアのカラーリングテクニックなど、最新のテクニック技術がこの治療例にはたくさん入っているのですが、
今回はおもに、大きなジルコニアセラミックブリッジのデジタル作製の流れを書いていこうと思います。
治療前の写真です。右下奥から2本目と3本目の歯がダメになり、治療の選択肢としては、入れ歯、大きな固定式のブリッジ、インプラントなどが考えられます。
今回は、白くて丈夫なジルコニアブリッジを患者様は選択されました。
義歯と違い違和感が少なく自分の歯のように噛めます。ただし、大きいこともあり精度良くつくることはかなり難しく、かみ合わせの高さなどを合わせる難易度も高いものです。
ジルコニアセラミックは、非常に丈夫で、割れにくく、ずっとツルツル感がつづきます。結果としてしっかりつくれば、虫歯にも歯周病にもなりにくい良い治療になります。
ポイントは、キチンとした精度、噛みやすい設計、歯が二本ないためそこで折れたりしない強度です。
あってない銀歯はずし、歯の周りを削り、デジタルの型取りをします。口の中の動画撮影のような感じです。上、下、かみ合わせと撮ります。(デジタルインプレッション)
ジルコニア、特に今回使用した高強度4Yジルコニアは、出たばかりの最新のジルコニアで、キレイでかつ強度がありこのような大きなブリッジに適しています。いまや、ジルコニアにも色々な種類があり、そこに適したジルコニアを選択することが必要です。
コンピュータ上で、まずモデリングソフトが、このブリッジの設計提案をしてきます。少しぎこちない形ですが、コンピュータがある程度の形を作ってくれるのです。(CADデザイン)
さらにわたし、もしくは技工士さんが、デザインの手直しをコンピュータ上でおこないます。精緻なデザインに変わっていることがわかるでしょう。この大きさの治療を模型をつくらず、模型レスでつくる手法は、まだトップレベルの歯科医師、歯科技工士であっても一般的なものではありません。
しかし、当院のデジタルにおける経験とトップレベルの技工士さんがチームをくむことにより、行うことができます。(模型で確認することは一般的ですが、そこにも変形を呼ぶ落とし穴がたくさんあります)
設計が終わったら、ジルコニアの円盤のようなものから、工業用の加工機を使い、ジルコニアを削り出します。この時点ではチョーク上であり、まだ柔らかい状態です。さらにそこに歯の細やかな色を染み込ませその方にあった歯の色を作っていきます。そして、1500°以上の高温の炉で焼いていきます。
この時、ジルコニアは20パーセント以上収縮していきます。ここでデジタルが生きて来ます。その収縮率を立体的に計算をしておき前もって20%大きく削っておき、それをやいているのです。その精度は驚嘆のレベルです。
色をつけ、研磨も終わったジルコニアブリッジが口の中に入った状態です。まさにピッタリです。今回も調整なしで口の中に入りました!
このようにピッタリの歯が入るためには、いくつかのポイントがあります。
作製を邪魔しない正確でかつ最小限の歯の削り方、
的確でかつ無駄のないデジタルインプレッション、
正確な冠のはじの線引き(ここはドクター)
データの劣化のないデジタル転送
担当技工士の模型作成とCADデザイン
精密なジルコニア削り出し、色つけ、研磨、
デジタルに関する知識と経験
今回、技工部門を担当していただいた、伊藤竜馬先生は、色々な学会で数多くの講師として招かれているデジタルを得意とするスペシャル技工士さんであり、私の技工の師匠である方です。
私は出来る限り、歯科医師でありながらセラミックを自分で作ることに拘りたいと思っております。ですので、伊藤先生に師事し、いろいろなテクニックを教えていただいてきました。
しかし、今回のような大きな治療や前歯の非常に個性的である歯の治療にはプロフェッショナルな技工士さんがどうしても必要です。
当院では、そのような治療にも、スペシャルな技工士先生と連携してデジタルのスピード、正確さ、患者様の楽さ、低コストなどの部分が皆様に体験していただけるよう、伊藤先生と連携しとびきり上等なセラミックをお届けできるよう、これからも努力してまいります。
大きな治療例(インプラント含む)にも当院ではこのように対応しておりますので、銀歯などのやり直しから、大きな治療までセラミックのカウンセリングまたは検診などでお問い合わせいただければ幸いです。
患者様が落ち着ける医院環境を整えてお待ちしております。
佐藤デンタルクリニック
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